2019年3月25日

株式会社セブン-イレブン・ジャパン
代表取締役社長 古屋一樹 様

コンビニ加盟店ユニオン
執行委員長 酒井孝典


申し入れ

 
  去る、  3月15日に中央労働委員会から出された命令書には「なお、本件における加盟者は、労組法による保護を受けられる労働者には当たらないが、上記のとおり会社との交渉力格差が存在することは否定できないことに鑑みると、同格差に基づいて生じる問題については、労組法上の団体交渉という法的な位置付けを持たないものであっても、適切な問題解決の仕組みの構築やそれに向けた当事者の取り組みとりわけ、会社側における配慮が望まれることを付言する。」と記されており貴社に対し中央労働委員会の要望に応じ、下記申し入れ事項への回答をいたたくことを求めます。

⑴  短縮営業を選択することを認めて、一般的な零細小売店と同様に厚生年金・健康保険の被保険者の基準に満たない契約時間の従業員だけでも運営できるようにすること,

⑵「均衡の実質を維持するため」の契約を履行し、24時間営業を続ける加盟店に対してのチャージ減額をすること。

  先日3月6日の記者会見で武蔵大学土屋直樹教授に解説いただいた通り、深夜営業におけるコンビニ本部と加盟店での損益分岐点には大きな差があります。(武蔵大学土屋直樹教授『コンビニエンスストアにおける経営と労働』Ⅳ)
  午後11時から翌朝午前7時まで営業する場合の本部側から見た新たに発生する主なコストとしては加盟店に対するロイヤリティの減額または24時間営業に対する奨励金といことになります。チェーンごとに計算の方法は異なりますが、これが月間約10万円です。このコストは月間約60万円の売上で回収できる金額であり、分かりやすく言い換えれば、毎日午後11時から午前0時までのわずか1時間程度の売上で本部は損益分岐点に到達するということです。
 
  一方、加盟店が午後11時から翌朝7時まで営業した場合に新たに発生する主なコストとしては人件費となります。最低賃金×1.05(ほとんどの店が最低賃金か少し上乗せした時給で募集している)で雇って二人配置したとして、全国平均で月間約50万円で24時間営業減額チャージ10万円を引いても約40万円になります。このコストを回収するには月間約300万円の売上が必要となり、言い換えると午後11時からの売り上げが10万に達してから始めて利益が出るということです。さらに、この試算には社会保険料や有給休暇等のコストが加えられていないことから、貴社が労せずして深夜営業から利益を得ている一方で、加盟店ではほとんど利益が出ない、あるいは赤字ということになっています。

セブン-イレブン加盟店契約書では
「この契約の各条項に規定される数額が、社会・経済情勢の急激な変動または物価変動の継続による価格体系の変化などにより、合理性を失うに至った場合には、均衡の実質を維持するため、改訂することができるものとし、そのため、その基準値が定められた昭和54年10月1日から5カ年間経過するごとに、乙(加盟店)の意見をきいたうえ、見直しをするものとする。」
と規定されています。

  24時間営業を開始した当初は当時の平均日販と最低賃金から貴社と加盟店の損益分岐点がほぼ同額 1 : 1 であったと推定されますが、最低賃金の上昇率が売上の上昇率を上回ってきた結果、現在では 1 : 5 になっています。しかしながら、上記の規定にもかかわらず、3月15日に中央労働委員会が「本件フランチャイズ契約は、会社がその内容を一方的に決定していることは、会社と加盟者の間での事業者としての交渉力の格差を示すものである」と付言し認定している通り、貴社と1加盟店とでは力の差が大きすぎて交渉にならず、現在に至るまで一度も24時間営業の減額チャージが改訂されたことがありません。

  2017年に東京労働局が実施した調査によると都内のコンビニエンスストアの95.5%が労働関連法の違反をしていたということですが、当組合の独自の調査では、さらに個人事業で経営している加盟店の95%が従業員を厚生年金・健康保険に加入させていない違法状態であることが確認できています。このような状態になっている理由は

①上記の「均衡の実質を維持するため」の契約が履行されていないため、深夜営業が加盟店にとっては、ほとんど利益が出ない、あるいは赤字になっているので費用が捻出できない。

②貴社から24時営業を義務付けられているため常時雇用する従業員が15人から20人は必要となり、強制適用事業所となる基準である常時5人以上の雇用になるのに加えて、昨今の人手不足により被保険者の基準である週30時間以上の勤務をする従業員が各店に2〜3名は大抵いるため。
 
  貴社は加盟店に給与システムを提供し、加盟店の損益計算書を閲覧できる立場にあるのですから加盟店の違法状態を知っていながら放置し続けていることになります。
 
  零細小売店を営む個人事業者は一般的に厚生年金・健康保険加入の強制適用事業所でないことや、被保険者の対象となる従業員を雇っていることが少ないことから社保調査があまり入りません。    それをよいことに、たまに入った社保調査については運が悪かった、しかも、その場合の責任は加盟店にある、というのが貴社の姿勢であり、このような加盟店が違法状態になることを分かっていながら貴社が出店を続けているのは正当なビジネスと言えるのでしょうか。

  つきましては、2019年4月1 日迄に申し入れの諾否を文書によりご回答願います。

以上