セブン-イレブン・ジャパン事件

セブン&アイ・ホールディングス執行役員木村氏陳述書への反論
 
1頁第2.1当社創業理念について
当時の社会情勢とセブン-イレブン本部との関係を1973年に制定された中小小売商業振興法などを例に挙げ説明されていますが、これを同時期に500平米以上の売場面積の店舗の出店を規制する1973 年制 定1974年施行の大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(大規模小売店舗法)を前提とすると全く違った見方ができます。
大型店の出店を規制する大規模小売店舗法が施行された後の事業計画を模索していたイトーヨーカドー(大型スーパーマーケットを展開する創業当時のセブン-イレブン本部の出資者)は500平米未満であれば自由に出店できることを理由にアメリカ視察の末、コンビニエンスストア事業を手がける判断をしました。小型店でも集客が見込めるとすれば、当時はまだ現在のように規制緩和がされていなかった酒やタバコといったマグネットとなる商材を品揃えしておくことだと考え、タバコ店では売り場面積が狭すぎるので比較的売り場面積の広い酒販店をターゲットにし商売替えを説得しました。フランチャイズビジネスというのは店舗運営に関わるヒト・モノ・カネのリスクを本部が回避し加盟店に負わせる仕組みでありますが、酒販店からの鞍替えは創業当時のセブン-イレブン本部には土地建物を用意せず少ない資金で店舗数を拡大するのにも好都合でした。現在ではCタイプ店舗(土地建物は本部が用意)の出店が中心ですが、理由は酒、タバコ販売の規制緩和と「モノ」のうち土地建物の所有や賃貸を本部がリスクの小さいもの(投資額の多寡でなく)と考え、店舗の商品在庫というリスクの高いものだけを加盟店が負ってくれれば良いと判断しているためです。
セブン-イレブンの創業はイトーヨーカドーという大資本が大規模小売店舗法という規制法がある中で企業としての利潤を追求したものであり、中小小売業の振興などを第一義的に考えたものではありません。木村氏のセブン-イレブンシステムと中小小売業支援とを結びつけた記述はライセンス契約を結んだアメリカのサウスランド社の企業理念を翻訳したものでなく、後から意味付けされたものです。実際にはコンビニエンスストアができたことで街からタバコ販売店、酒販店、書店などが次々と姿を消し、中小小売業が振興されたということはなく、3 年毎に発表される商業統計によれば現在に至るまで小売店舗数は減少の一途にあります。

2頁2 加盟店と当社の関係について
加盟店は「当社から技術面,資金面を中心とした様々な支援を受ける」とありますが、加盟金258万円、少ない資金で開業できますという謳い文句ですが、実際、開店時には本部主導で平均700万円の商品在庫を抱えることになる結果、加盟金から研修費用などを差し引いた150万円だけが自己資本となり負債約500万円に対し市場金利より高い利息を本部に支払うことになっています。これでは加盟店が資金面で支援を受けているとは言えず、本部が高利で利益を得ていると言えます。

3頁4行「仕入れコストを大幅に圧縮」とありますが、セブン-イレブン加盟店の仕入原価より、スーパーやディスカウントストアの店頭小売価格が安いことが多々あります。この仕入原価の高さの理由に対する本部の回答は、米飯などデイリー商品の1日3便制や、セブン-イレブン店舗・バックルームの狭さに配慮して調味料、洗剤などのロットを少なくして配送する多頻度小口配送により仕分け、配送のコストが嵩むためということです。実際には安くない仕入れコストをさも安いように吹聴するのは詐欺的であります。しかも荒利分配方式で約半分をチャージとして引かれることを考えれば、加盟店は売価と原価の差額をさらに半分にした値入れで商売しているようなものです。

3頁⑵本部はチャージについて「拡大再生産のための再投資」だと言いますがCタイプ店のスライドチャージは所得税の累進課税のように利益の少ない他の加盟店に富の再分配がされるという性質のものではなく、あくまで本部の取り分となり本部の拡大再生産(ドミナント)のための再投資になっています。

4頁⑶「コンビニエンスストアは,絶えず変化する顧客の要望に,コンビニエンス,つまり『便利さ』という無形の価値を提供することによって対応し続ける店舗です。」とあり全くその通りだと認識いたしますが、ただ、その後の記述には有形、無形のものが混在しています。経済学やマーケティング論でいう有形財とは商品のこと、無形財とはサービスのことです。この中で無形と呼べるものは、年中無休の 24 時間営業、商品以外の様々なサーピス(宅配便、公共料金等の払い込み, お食事配達サービス等)の提供です。これら店舗での労務提供が不可欠なサービスがコンビニエンスストアでの特色であり優位性であります。加盟店にもその共通認識があるからこそ、オーナーがたと長時間労働となっても24時間営業契約を遵守し、人生経験の浅い学生アルバイトだけでは複雑多岐なサービス業務に対応できないので夕方はオーナー、店長など主体者が常駐したりしているのです。他産業はもちろん、小売他業態に比べてもコンビニエンスストアでは店舗での労務提供が重要な役割を果たしていると言えます。人手不足や従業員の病欠などは加盟店オーナーが労務提供をして補っていることは容易に想像でき ることだと思います。

5頁⑵「オーナー希望者様がセブン-イレブンチェーンに加盟する際には、当社との間で加盟店契約を締結します」とありますが符合契約であり全てに合意せねば契約してセブン-イレブン加盟店になれないことを指摘させていただきます。

6頁5行「フランチャイズ契約の留意点」この中小企業庁が刊行物は悪質なフランチャイザーや説明義務を怠っているフランチャイザーが多いことに起因してトラブルが絶えないために作られたリーフレットであると思われますが、この刊行物に本部が信頼を置くならオープンアカウントというのは加盟店の支援などではなくリーフレット4頁にあるように、借りるとも言ってないのに、勝手に高い利息を付けて貸し付けられたと考える方が普通の感覚であるとお認めください。

6頁⑶で引用されているリーフレットに関連質問
現在本部が配布している加盟希望者向けのリーフレット「セブン-イレブンの横顔」には2010年頃から冠婚葬祭や旅行、病気などでオーナーが不在の場合に営業を代行するオーナーヘルプ制度について記載がありません。ホームページのCSR中には加盟店への支援制度としてオーナー業務代行制度「オーナーさまは自己の裁量で休日をとることが可能です。しかし、経営していくなかでは予期せぬ事態が発生することもあります。そこで止むを得ない事由で休日が必要となる場合に、本部従業員が一定期間、オーナーさまの業務を代行する制度を設けています。」とあります。我々は加盟前にオーナーヘルプ制度があるから年中無休24時間営業でも安心ですよ、と説明を受けましたが、予告もなく変更されたのでしょうか。

7頁1行で引用されているリーフレットに関連して
平成11年に作成された「フランチャイズ契約の要点と概説」の中の10.②契約の更新の要件及び手続きという項目は中小小売商業振興法の規定により加盟希望者に書面に記載し交付しなければならない事項ですが、そこには
「期間満了に際して、協議し、合意に基づいて行われます。」
とのみ記載されています。具体的な基準を示されていませんが、実際には基本商品導入率を93%以上にすることや在庫金額を700万円にすることなどを条件にしたり、契約違反を行なっていない加盟者に対し理由なく更新拒否を行なっています。このような本部都合だけが更新条件とならないようにするための法律の趣旨による規定を不誠実にも無視して至極当然の大前提のみ記して更新の条件を全く記していません。更新に際して本部の嫌がらせや、仕入れの強要など不当な行為が横行しています。このことは加盟者を不安にさせ、将来設計を不安定なものにさせています。是非とも団体交渉で解決しなければなりません。

8頁⑵年齢制限、⑶居住場所の基準は加盟者に経営権を認めないという本部の考え方が現れたものです。後継者も加盟者の一存では決められない、親族という制約もある。店長を雇って管理者とし店から離れたところに住むことも許されない。経営権を譲渡することもできない己が身限りの「経営権のない経営者」です。15年、30年と築き上げてきた経営の成果も子供が後を継がないなら店が存続したとしても契約満了と同時に本部のものとなります。片腕となって支えてくれていた店長がいたとしても経営権を譲ることはできず、店長は新たな店舗経営者に継続して雇用され待遇が維持される保証はありません。加盟者に経営権が無いことは従業員の定着率の低さ、人手不足の遠因にもなっています。
加盟者に経営権が無いということで言えば、本部と加盟店は本店と支店の関係ではないにもかかわらず、本部はCタイプ店のタバコ販売免許をなるべく本部名義で取得しようとします。これはコンビニエンスストア最大のマグネット商品であるタバコが加盟者名義であると店舗存廃の実質的な経営権を加盟者に握られ、本部から容易に契約解除や契約更新拒否を行えないためと考えられます。

9頁6行「労務提供者としての研修などではありません」ということですが、研修では損益計算を演習したり、損益計算書の見方を開店時の平均的な売り上げシミュレーションを基に説明があります。そのシミュレーションでは、オーナー夫妻がそれぞれ週40時間勤務する商品前提で人件費を計算します。つまり、オーナー夫妻が労務提供しなければ十分な利益が出ない、生活費が捻出できないと習う研修であると言えます。

9頁8行「そもそも、この研修は、加盟店オーナー様が実際に経営される店舗の決定と加盟店契約締結後に実施され、その後経営者としての資格認定が行われ、仮に合格しなかった場合には、契約が解約され、店舗経営を行うことができなくなりますので、労働者や従業員に対する研修とはその意味も性質も全く異なります。」とありますが、契約締結後に契約自由を貫徹されて不当な解約がないように、まさにこのようなことがないようにするために団体交渉を求めているのです。

9頁第6.1「加盟店契約が定型的であること」について加盟時に定型的・画一的な契約であることは問題としておりません。加盟店付属契約書に24時間営業をする理由として「今日の実情に合わせ」と記載されているように、契約後、時の経過とともに変化への対応を行なってもらいたいということです。今日の実情では、少子化による人手不足やコンビニエンスストア数の増加による一店当たりの深夜帯の相対的な売上減少により深夜営業は見直されるべきであります。

10頁2行「問題は,契約内容が定型的・画一的かどうかではなく,そのように定められ た契約の内容が加盟店オーナー様に労働者性を認めなければならないほど拘束的であるかどうか」とありますが、夫婦がそれぞれ週40時間勤務しなければ生活に十分な利益が出ないという損益シミュレーションを示すことや、実際に本部と加盟店の間の売上総利益の分配では加盟店オーナーの労務提供が必要であることだけでは一見加盟店オーナーを拘束していない、勤務時間に自由があるように見えますが、それはコンビニエンスストアの特徴である24時間という長時間営業によるものです。各時間帯に配置しなければならない人員の充足状況によって勤務する時間が定まっていないだけであって、夫婦それぞれが週40時間勤務しなければならないことは十分拘束していると言えます。また24時間営業の契約による義務は従業員の急な病欠、忌引きなどで交代の従業員が見つからないときにはオーナー夫婦に3〜8時間の強制的な残業をさせることとなり、最も拘束的な契約の一つであります。

11頁2.セブン-イレブン・イメージについて
セブン-イレブン・イメージについて加盟店基本契約書では「各セブン-イレブン店は、一定の仕様による共通した独特の店舗の構造・形状・配色(とくにひしとその赤色、それとの全体の調和。)・内外装・デザイン、店内レイアウト、商品陳列、サービスマーク、看板等の外観、商品の鮮度など品質のよさ、品ぞろえ、清潔さ、ユニフォーム、接客方法、便利さなど際立った特色を有し、独特の印象として定着し、広く認識され、親しまれており、このイメージがセブン-イレブン店の信用を支えていること。」と規定されています。木村氏の陳述書ではこの中からわざわざ基本4原則(フレンドリーサービス、クリンリネス、品ぞろえ、鮮度管理)のみを取り上げ常識的で限定的な内容であると印象付けようとしていますが、契約書では店舗営業に関するほぼ全てを網羅する内容になっています。しかもそれぞれについての客観的な基準は示されておらず、本部社員の全くの主観でセブン-イレブン・イメージにそぐわない、すなわち契約違反だと言って加盟店に従わせる根拠として濫用されているのです。本部から配布されたものでないクリスマスの装飾や、たばこメーカーによる販促、警察やボランティア団体のポスターの掲示などの撤去を指示された例は枚挙にいとまがありません。
また加盟店が起こした24時間営業差し止め請求裁判で最高裁判決により24時間営業はコンビニのイメージであるという理由で加盟店の義務であることが確定しています。人手不足や深夜帯の不採算を理由に一時的に閉店することや、本部に支援を求めることを協議する権利を有さず、過酷な義務だけを負わされるならば、加盟者は我が国の憲法で保障された法の下の平等に反し隷属的な身分ということになってしまうのではないでしょうか。

12頁8行「在庫商品の量、構成がセブン-イレブン・イメージに適合しているかどうかのかの判断は加盟店契約上商品の仕入・販売が加盟店オーナー様の責任において行われることとの関係上、緩やかなものとなっております。」とありますが、実際には本部は契約更新に際して、当該店の平均日販によらず在庫金額を600万円〜700万円にするように指示をしています。適正在庫量はセブン-イレブン加盟店同士であれば発注頻度、リードタイムがほぼ同じであると考えられることから需要予測の元となる其々の店の販売力に左右されることになります。例えば平均日販80万円の店の適正在庫が仮に700万円なら平均日販が半分の40万円の店の適正在庫は350万円となります。ところが、本部は在庫金額だけに着目し、大半の店にとっては過剰な在庫を持つことを要求しています。在庫内容については不問で切手、印紙を100万円以上在庫として保有して在庫金額の基準を満たしていた店舗には契約更新に際して在庫金額を増やす指示はありませんでした。本部が商品在庫を多く持つよう指導する際の根拠となっている「商品在庫の多い店は日販が高い」という理屈は因果関係が逆なのであって、実際には日販が高い店が多い販売量に備えて商品在庫が多くなるという因果関係にあります。日販が高いという原因から結果としてレジが3台(通常は2台)あるものを、レジを3台に増やせば日販が高くなると言っているのと同様の間違いです。販売力によっても適正量は増減し、またその内容こそが重要な商品在庫を金額でのみ評価することは全くナンセンスです。枯れ木も山の賑わいとばかりに在庫金額だけ増やしても死筋商品(売れない商品)はいくら待っても売筋商品(売れる商品)には変わりません。お客さまが欲しいものを欲しいときに欲しいだけ品揃えする単品管理こそが重要です。
商売ですから売れると分かっているものを仕入れないということはありません。在庫金額だけを問題とせず、加盟店が自発的に発注を多く入れたくなるような商品の調達や開発を本部の役割として全うしていただくようお願いします。

12頁21行「組合は、荒利分配方式は、商品廃棄による原価の負担を加盟オーナー様にのみ押し付ける極めて不公平な制度であり、コンビニ店経営のリスクを一方的に加盟店オーナー様に負担させるものであると主張している」全くその通りであって、木村氏も契約通りであるとは述べていますが否定はしていません。小売業ではいくら情報を収集して発注したとしても予想通りの数量が鮮度の古い順番に必ず売れるということはなく、原価を割った価格に値下げしてでも販売しなければならない時もあります。セブン-イレブン加盟店と同様にデイリー商品を取り扱うイトーヨーカドー出身者が立ち上げた事業であるのですから小売業のこのような事情は十分わかっていたはずです。それにもかかわらず、原価を割って損失が出た分についついは加盟店のみが負担せよという、実に不寛容な会計の仕組みが荒利分配方式であると言えます。
前述の通り、セブン-イレブン本部は小売商業を振興したとは言えないものの近代化には寄与しました。セブン-イレブン加盟者の売上、利益の正確な税務申告を促し、税収面で国へ貢献したという自負心からか行政処分など受けるはずがないと高を括っていた節があり、公正取引委員会からの再三にわたる警告を無視して見切り制限に対する排除措置命令を下されました。加盟店のみがリスクを負担させられているという不満は荒利分配方式と見切り制限、発注の強要・扇動が相まって生じるものです。
現在、セブン-イレブン本部はここで木村氏が縷々述べている原価の加盟店負担の契約に反して廃棄原価の15%本部負担を行なっています。見切り販売を実施している店舗での月間の損益計算書によると原価を割って販売したことによる本部への損失補填として「その他非課税雑費」が月間約5千円、本部が負担する15%の廃棄原価が約1万円と本部側から見た経済合理性が失われています。つまり、売上商品原価に廃棄原価を含めた売上総利益に変更し、契約に反する廃棄原価15%負担をやめたほうが本部の利益は多くなりますが、他者から指摘を受けて変更したと言われ面目を潰されたくない思いからか現行の制度が維持されています。

13頁5行「加盟店オーナー様は、廃棄商品の原価についてセブン-イレブンチャージを支払うことはありません。」とありますが、一般的な会計方式による粗利益の計算において商品を廃棄する場合、値下げしたままの売価で廃棄処理をしようと、売価を元に戻して廃棄しようと粗利金額は同じになります。ですから、一般的な商習慣として値下げしたままの売価で廃棄をします。
ところがセブン-イレブンの荒利益の計算においてデイリー商品を廃棄する場合、値下げしたままの売価で廃棄処理をすると、本部にマイナスチャージ(本部のチャージ取り分が減る)が発生するとして売価を元に戻して廃棄させられます。
結果的に一般的な粗利益計算、商習慣に従って廃棄処理を行うより、セブン-イレブン方式の廃棄処理を行う方がチャージを多く支払うことになる点において廃棄にチャージを支払っていると言えます。
ロスチャージ裁判で最高裁は捕捉意見として
廃棄ロスや棚卸ロスについて契約書に明確に記載して説明するべきとしていますが、本部はこの意見についてはどう考えておられますか。

13頁17行「商品の仕入代金調達の負担を負うことなく」とありますが、本部は加盟店に負債を負わせる前提の出資金で加盟させています。開店時の在庫金額相当額を準備してから加盟させれば、コンビニエンスストアは日銭の入る商売なのですから、オープンアカウントシステムなど無くても、仕入代金の支払い期日には十分売上金が貯まっており、他から調達することなどあり得ません。

13頁17行「顧客が求める多種多様な商品を有利な取引条件で仕入れ」とありますが、リベートの内容など加盟店に開示されていません。また本部が出資して建てられる共同配送センターはメーカーからセンターフィーを徴収したり、加盟店へは配送料を商品原価に上乗せしたり、出資者の本部には配当を出したりしてると考えられますが、加盟店に対しては仕入原価の算出方法は説明されておらず、全くのブラックボックスであります。

13頁19行「当社の企画による多頻度小口配送による物流システムにより、的確、かつ、確実な納品を受け、新鮮な商品を適時に店頭に陳列して、顧客に提供することができます。」とありますが、まさに、このことが組織に組み込まれているところであり、納品時刻について加盟店の希望は聞き入れられることはありません。加盟店には裁量はなく、納品時刻に合わせて作業の計画を立てねばなりません。

13頁26行「4800品目の推奨商品の中から、2800品目をその自由な裁量により選択できます」とありますが現在セブン-イレブンでは本部が出資をして建てられる共同配送センターという卸の機能をもつ所から店へ配送が行われています。ナショナルブランド(NB)商品は大手の卸売業者から仕入れる方が間違いなく品目数は多いです。さらに、セブンプレミアムなどプライペートブランド商品の品目数の増加により、類似のNB商品は推奨から外される傾向にあり、セブン-イレブン加盟店の商品の選択の幅は狭いと言えます。

14頁⑶現金仕入について
現金仕入をする目的は一つには品揃えに多様性を持たせること、もう一つは良い取引条件で仕入れをすることです。この二つの目的をセブン-イレブンシステム内で加盟店の裁量において果たすことができないので他に求めているということです。セブン-イレブン加盟店でありながら仕入れに関して裁量があるというのは、一般の誰でも仕入れることができるものを同様に仕入れることがきるということではなく、メーカーの営業員と個別に商談をして、多様な品揃えをしたり、大量に注文する事で取引条件を良くしたものをセブン-イレブンの物流で配送してもらうことができるということです。こうした裁量が認められていれば、「現金仕入の商品の割合が総じて少ない」どころか皆無であるはずです。

14頁 6 推奨売価制度について
加盟店基本契約書には価格決定権は加盟店にあると明記され、本部が提示するのはあくまで推奨売価であるということですが、実態は極めて拘束的であることが以下の2点をもって言えます。
⑴加盟店が独自に販売促進のセールを行うことが想定されておらず、そのための機能がレジとストアコンピュータが連動するシステムに備わっていないこと。
商品の売価は需要と供給のバランスにより決定されるべきものであり、木村氏の陳述書にあるような計算式で、製造業の原価計算のように決めるものではありません。店の立地によって実勢価格というのがあり、たとえばドラッグストアが近くにあって推奨売価ではシャンプー、洗剤などの家庭用品がまるで売れないというようなことがあれば、価格設定を見直して乖離を小さくして商品回転率を高めるのが合理的判断です。ところが、セブン-イレブンでは加盟店が独自に販売促進をするために値下げして販売した商品を自動的に集計して在庫変更報告書に計上されるという機能がありません。売価自体の変更は可能ですが、納品の都度セール対象の商品を選別し伝票上の売価である推奨売価とセール売価の差額をストアコンピュータに入力しなければなりません。このような煩雑な作業をすることは実質不可能であり、その意味で拘束的であると言えます。
⑵加盟店が独自に価格設定をすることが想定されておらず、そのためプライスシール を発行する機械が各加盟店に備わっていないこと。
毎週、新規商品のプライスシールが本部から送付されて来ますが、推奨売価が印刷されたものです。紛失したり、劣化したものを交換するために後から依頼したものも同様です。加盟店が独自に売価設定をするなら手書きなど自作しなければなりません。ところが、契約更新や複数店経営の審査に手書きプライスシールが極力少ないことが基準に盛り込まれています。このことからも拘束的であると言えます。
推奨売価に関連して、現在セブンネットショッピング(インターネット通信販売)でお客様が購入した商品を店頭でお渡しする場合、店頭の商品と同様の売上計上がされています。契約書にある価格決定権が加盟店にないということだけではなく、一部報道されていますように、インターネット事業の苦戦の煽りを受け、価格競争の末、通常の商売では考えられないわずか1%の値入れしかない商品が届きます。加盟店の人件費を考慮しない新たな問題として指摘させていただきます。
また平成29年6月1日より改正された酒税法により、酒類の価格は総販売原価(売上原価の額と販売費及び一般管理費の額の合計額)を下回る価格で継続して販売することを禁止していますが、ビール全般とワインなど一部の商品で総販売原価を下回る推奨売価が提示され続けています。もしも本部の推奨売価通りに販売すると酒税法違反となり免許取消しや罰金刑に処せられることになりかねない事態であることも指摘させていただきます。

15頁27行「常に新鮮なデイリー商品をお客様に提供していることは、セブン-イレブンチェーンのブランドイメージの重要な一要素となっており」とありますが、これは一般的な許容よりさらに短い販売期限を本部が一方的に設定していることを意味しています。たとえば日付管理の菓子パンはスーパーマーケットなどでは賞味期限当日のものが朝に30円引き程度、夕方閉店の1〜2時間前に残っていれば半額というようにして販売されています。ところが、セブン-イレブンでは賞味期限当日の日付に変わった途端午前1時までには売場から撤去し、廃棄しなければならないルールになっています。当然のことながら、販売期限が短くなると廃棄のリスクは高まります。そして廃棄は加盟店の負担となります。販売期限の問題に見られるように一般的ではないルールを本部が一方的に決定し加盟店だけが不利益を被ることがないよう話し合いにより妥結を図り解決する場が必要です。

16頁 第8 加盟者に対して送金される月次引出金等について
月次引出金、四半期引出金、月次追加送金という制度には、本部が加盟店を信用できないので管理下に置きたい、加盟店の自己資本を本部の運転資金にしたいという意図しか感じ取れません。自己資本でありながら加盟店の自由にはなりません。

17頁⑸人件費との関係について
月次引出金の計算式について、そもそも加盟店の人件費はセブン-イレブン本部と加盟店との間の荒利分配に何ら関係するものではありません。その意味で本部が関与する合理的な理由は見当たりません。それでも本部が関与する理由は端的に言って加盟店を信用していないためです。加盟店を独立事業者としながら人件費について、どの程度に抑えるべきかなどの助言をするにとどまらず、システム的に管理しようとするものです。まるで無駄遣いをする子供のお小遣いを親が管理しているのと同様です。ブランドイメージやチェーンの統一性という領域を超えて別事業者である加盟店をシステム的に管理監督しようというのが月次引出金という制度です。

18頁4行「月次引出金、四半期引出金、月次追加送金とともにオーナー利益の引出し方法の一つに過ぎず、労務の対価として支払われるといったものではないということがご理解いただけると思います」とありすが、前述の通り加盟時の研修での損益計算シミュレートでオーナー夫婦が各週労40時間が前提になっていること、また実際にそうせねばならない売上総利益の分配率であり、労務対価性の高いものです。本部からの送金方法がどうであれ、労務対価性が高いことに変わりありません。

もともとセブン-イレブンはデイリー商品、加工食品、雑貨、雑誌といった物販を行う一般小売業として創業しています。その後、公共料金の収納代行や宅急便の受付に代表されるサービス業務が追加され、おでんや中華まんに代表されるカウンター商材が追加されました。さらに直近の20年を振り返ってみても、
1998年10月雑誌定期購読予約サービス開始
1999年11月イーショッピングブックス取り扱い開始
インターネット料金収納代行サービス開始
2000年8月お食事お届けサービスの(株)セブンミールサービス設立同年9月サービス開始
2001年5月アイワイバンク銀行(元セブン銀行)の店内ATM設置開始
2002年11月マルチコピー機を活用したチケットサービス等の取り扱い開始
2004年11月デジカメプリント機能付きのマルチコピー機設置開始
2007年10月カウンター調理(フライヤー)商品の販売開始
2009年12月「セブンネットショッピング」サービス開始ぴあ(株)と業務・資本提携
2010年2月マルチコピー機による「住民票の写し」「印鑑登録証明書(」の発行サービスを開始
2012年2月マルチコピー機による「税の証明書」の発行サービスを開始
2013年1月「セブンカフェ」販売開始
2014年10月「セブンカフェドーナツ」販売開始
などサービス業務、カウンター商材が追加され続けています。
サービス業務はわずかな手数料しかないのに時間を取られる傾向があり、カウンター商材は仕込み・販売の手間だけではなく1日1回販売・調理の機器を分解・洗浄するのにかなりの時間を要します。
セブン-イレブンのCタイプ加盟店は各時間帯を2人時で回す事が標準とされ、よほどの高日販店でなければ3人時にはできず、逆によほどの低日販店でなければ1人時にはできません。上記のようなサービス業務、カウンター商材が追加されたからといって3人時で回せるようなチャージ減額の改定は行われておりません。
結果として、かつては従業員が2人シフトでこなせていた業務が一部行えず、かといって人員を1人増やすこともできず、オーナーがレジ打ちを中心としたシフトに入っているとは言えないまでも、弁当の検品品出しを手伝ったり、サービス業務のサポートをしたり、発注をしたり、また配達を行っている場合は、店に従業員を1人だけにするわけにもいかず、オーナー自らが配達したりして、従業員に過剰に負担をかけたり過剰にストレスを感じさせないようにしているのです。警備員が現場ですぐに出動できることを前提に仮眠をとっている時間は勤務時間とされていますが、オーナーがこのような状態で店で待機している時間が労働時間でないわけがありません。
セブン-イレブン加盟店では1店舗当たり従業員を15人から20人雇っていて、オーナーと履行補助者の二人が管理者であると考えれば、一見、従業員と管理者の比率として妥当なように見えますが、店で同時に稼働しているのは従業員2人に対して管理者が1人という比率になり、またオーナー、履行補助者が合わせて1日の1うち10時間以上をカバーしなければならないというのは、連日従業員の教育やマネジメントにそんなに時間が必要であるはずもなく、上記のような業務の増加に対応するためです。
結論として、
①低日販店でオーナー、履行補助者が自らシフトに入り人件費を削減しないと十分な利益を得られないという場合の労働者性が高い事は言うまでもありません。
②平均的な日販の1店舗経営で従業員を各時間帯に2人時で回していてオーナー、履行補助者が合わせて10時間以上お店にいるというのもその時間の多くを必要不可欠な労働者性の高い業務に使っています。
③2店舗経営であっても1店舗のみ店長・副店長などの管理職を置いていて、もう1店舗には管理職を置かずオーナー、履行補助者が合わせて10時間以上店に出ているという場合も同様で労働者性が高い。
④3店舗以上を経営し、それぞれの店に管理職を置き、それぞれの店舗から出る利益を合計したものから得られる収入で生計が成り立つものは経営者であり労働者性は無い。
コンビニ加盟店ユニオン組合員は全てこのうち①から③に属し、労働者性が高く、店にいる時間のうち従業員の教育やマネジメントを除いた時間は実際に必要不可欠な労働をしたり待機をしており、受け取っている利益の一部は完全に労務に対する対価であります。

尚、現在、実際に平均日販を50万円とし、月間を30日で試算をした場合、全国の最低賃金平均858円、地域別適用金13万円、法定福利費0円、オーナー週5夜勤で本部作成のP/L上の利益がほぼ40万円になります。この40万円から本部が認めていない経費である事業税、労働保険料、税理士顧問料などを差し引くと、夫婦それぞれが週に40時間、直営店でアルバイトをして社保に加入した方が実質所得が高くなる水準です。さらに最低賃金958円の東京で地域別適用金16万円、他の条件を同じで試算すると本部作成P/L上の利益が約31万円になり、オーナー夫婦の1時間当たりの労務対価は最低賃金を下回ります。当然、このような利益額では生計が成り立たず、長時間労働をしたり、休日なしで労働をして人件費を削減するためにオーバーワークとなっているのことは明白です。
数年後には全国平均の最低賃金をオーナー夫婦の労務対価が下回ることが確実です。セブン-イレブンの人件費の上昇を加味しない荒利分配方式はビジネスモデルとして、もう成り立たないということです。売上総利益の分配のあり方について組合との話し合いが必要です。

18頁17行「売上金を送金する必要がないというのは、フランチャイズ・システムを全く理解していない主張です」とありますが、セブン-イレブン・システムと追従するコンビニ各社が毎日送金を義務付けているからといってフランチャイズ・システムがそうあらねばならないということではありません。
毎日、売上金を本部口座に送金する、 しかも入金専用で出金できないとなれば、これはもう別事業者である加盟店の口座を本部が管理するのと全く同じ意味を持つことになります。
また、本部は会計システムについて合理的なシステムであると主張していますが、何が最も合理的であるかは、社会情勢や技術革新によって絶えず変化するものであり、合理的であるからといって話し合いの余地がないということにはなりません。

18頁30行「当社の創業理念である『中小小売店の近代化・活性化』」により、損益計算書や貸借対照表などの会計帳票 を提供するのは大いに結構なことですが、中小小売店は信用できないのでシステム的に管理したいという動機から一般的な商習慣を逸脱した越権行為を本部が可能としているのが本部口座への毎日送金の契約であると言えます。

19頁1行「当時の中小小売店の多くが、……現金管理がルーズになると、正確な収支管理はできません」とありますが、中小小売店を信用できない理由と管理監督している事実が明確に述べられています。

19頁 3 小括について
「このように、加盟店オーナー様が取得する月次引出金等は、加盟店オーナー様が店舗で稼働することの見合いとなっておらず、その店舗経営の利益(あるいは、法人から受領する役員報酬)としか理解できないものです。これを当社に対する労務提供の対価であり、賃金や給料に準ずるものであるとすることはできません。」と小括されています。
セブン-イレブン本部は2015年度のブラック企業大賞を受賞してから自社内での労働環境の改善に取り組まれ、それまで実際には週一の休日を完全週休二日制に、年次有給休暇の100%取得などを実行しておられます。それ自体は大変結構なことだと思います。
小売チェーンでは、店をプロフィットセンター(利益をもたらす部門)、本部をコストセンター(費用が集計される部門)と捉えるのが一般的な考え方です。
本部の役員、社員の待遇の改善の原資はプロフィットセンターである加盟店が商品を販売したりサービスを提供して稼ぎ出した売上総利益です。
しかしながら、一方で人件費上昇を加味しない荒利分配方式により、加盟店のみが苦しむ状況は、本部に対する労務提供の対価であるどころか、本部役員、社員の待遇改善の分まで労務提供をさせられているのではないかという感想を抱かせるものです。

OFCの役割、指導・助言の内容について
19頁28行「この助言・指導は、各加盟店の競争力やその利益を向上させるために行うものであり、加盟店オーナー様の活動を制限するものではありません」とありますが、加盟店の立場からすると営業費を引いた後の最終利益を最大化するための助言を経営指導の内容として求めていますが、OFCは必ずしもそのようなことを考えているわけではありません。加盟店の廃棄や品減りは荒利分配方式のセブン-イレブンチャージ(本部の取り分)の減少要因にならないことから、売上さえ上げれば良いと経費とのバランスを欠いた偏った指導が行われています。
本部のOFCに対する人事考課について知る由もありませんが、店に来てお茶を濁していれば良いというはずもなく、傍らで見ていて察するところ、いかに加盟店に本部方針を徹底させるか、また数値として分かりやすいものをいかに加盟店に取り組ませるか(新規商品導入率、基本商品導入率や予約商材・nanaco会員の申込件数など)で評価されています。
特に経営トップの思いつきを徹底することは重要らしく、過去には経営トップが試食して美味しいと感じ、売れると判断した商品(カニ飯、梅ちりめんご飯、キャベツの浅漬けなど)をOFCが売れ残れば自腹で買い取るので、しばらく指定する数量を発注し続けて欲しいということもありました。このような本部内でのトップダウンによるOFCへの圧力が時には加盟店への発注の強要になったり、OFCの自腹買いになったりし、それに加盟店従業員を巻き込んだ場合に過度なノルマや未達成の場合にペナルティを課すといったブラックバイト問題にも繋がってるのだと思います。

20頁19行「現在は、加盟店オーナー様に対する見切り販売の制限行為は、一切行われておりません」とありますが、
業務遂行上ミスが起こる場合、通常、二つのアプローチの方法でミスを防ごうと努めます。一つはミスの原因が当人の資質や、取り組む姿勢に問題があると判断される場合は当人に注意したり、助言したりします。もう一つは仕組みやシステムに問題があると判断しその改善を行います。
見切り販売の業務上起こりうるミスに関して本部はストアコンピュータへの登録数量と販売数量の誤差などを指摘し、加盟店オーナーの資質に問題ありとするのみで、システムの改善をしようとしません。
見切り販売を前提とした小売業のレジに値下げボタンが無いなどということは考えられません。スーパーマーケット事業などセブン&アイグループにも、セブン-イレブン店舗の情報システムを請け負うTECやNECにも値下げボタンに関するノウハウはあり、システムの改善は可能なはずです。
見切り販売で起こるミスについて本部は契約更新の協議の場などで指摘し、オーナーの資質に問題ありと言いがかりをつける材料にしています。
システムを改善すれば解決する問題を放置し、加盟店に問題ありとする嫌がらせ行為は広義での見切り販売制限であり、現在も続いると言えます。

21頁6行「ドミナント出店した場合、近隣の既存店舗の売上は、出店直後に一時的に下がることもありますが、既存店舗の加盟店オーナー様が経営努力を行ううちに、ドミナントの効果もあって、日販は上がっていくことになります」とありますが、ドミナントで売上が上がったという話を現在では聞いたことがありません。セブン-イレブンがまだ社会的に認知される前のことを言ってるのだと思います。

21頁8行「ドミナント出店は、創業以来ずっと続けていますが、セブン-イレブンチェーンの加盟店舗の平均日販は上昇し続けています」とありますが、見せかけの売上も増加し続けています。たとえば、額面金額に比して僅かな手数料収入しかないPOSAカードの売上計上や、サンプルとして配布するタバコの売上計上、5個買うと1個無料キャンペーンの引換品の売上計上、ドリンク値引きセール、おにぎり100円セールなど値引き分の売上計上、700円買うとくじが引けるフェアの景品の売上計上などです。これら通常、売上に計上する必要のないものを年々増やしながら本部は平均日販が上昇し続けていると発表しています。

21頁11行「ドミナント出店により個々の既存店舗の売上が低下した場合には、当社は、加盟店オーナー様の売上回復に向けての努力に見合う様々な経営支援を行っております」とありますが、同じ商品を扱うセブン-イレブン店舗が近くにできれば、なす術なしです。OFCの指導方法も従前と何ら変わることはありません。

21頁14行「なお、現在は、既存の加盟店オーナー様に対し、新規の出店数及び出店場所などの出店計画を、その計画が具体化する前にお伝えしています」とありますが、この記述はたとえば2019年に沖縄で那覇を中心に50店出店します、というような発表している事実を述べているだけであって、ドミナント出店に際して近隣の加盟店への説明のことではありません。ドミナント出店の際には事後的に伝えられるのみで、事前に計画が伝えられたり意見を求められることもありません。

21頁19行「期間満了の場合において、甲および乙において、期限の延長または、契約の更新について、合意のできないときは、契約は終了する」とありますが、この契約書の文言では契約の自由が貫徹され、何の理由もなく契約の更新がされないことが許されてしまいます。1件の契約更新は本部からすると2万店分の1の問題として軽んじられる傾向がありますが、加盟店にとっては1分の1の死活問題です。
中小小売商業振興法第11条 には「当該特定連鎖化事業に加盟しようとする者と契約を締結しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、その者に対し、次の事項を記載した書面を交付し、その記載事項について説明をしなければならない。」として「五 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項」という規定があります。すなわち、フランチャイズ本部は加盟者に対し契約更新についての条件と手続きを契約書で示さなければなりません。中小小売商業振興法の趣旨からして力関係に差があるフランチャイズ本部から加盟者が不当に契約更新拒否をされないための条項と解釈できます。陳述書の冒頭で中小小売商業振興法を引き合いに出し、セブン-イレブンの創業理念を語られているのですから、法の趣旨に則って本部は契約更新の条件について具体的に契約書に示すべきです。
2009年8月4日のコンビニ加盟店ユニオン結成後の同年9月29日付でみどりの基金(現セブン-イレブン記念財団)というセブン-イレブン店頭募金を環境ボランティアに助成する団体から、署名を求める文書が普段本部と加盟店が帳票などをやり取りするメールケースで届きました。内容は、コンビニ加盟店ユニオンの主張は加盟店の多数意見ではないので一線を画すことを約し署名して返却せよというものでした。 みどりの基金はセブン-イレブンの1号店オーナーが理事長を務めていますが、その団体の目的からしても加盟店の意見集約などをしたことがありません。またコンビニ加盟店ユニオンの主張のどの部分と意見が異なるのかの具体的記述もありません。全く思想・信条の自由、集会・結社の自由を認めない異様な文書です。差出人はみどりの基金の理事、監事一同ということになっており本部ではありませんが、業務上使用しているメールケースでおそらく本部社員が仕分けして配布したのですから本部はこの文書の内容を把握していたと考えられます。このような文書の配布に同意し、組合潰しを目論んでいる本部がコンビニ加盟店ユニオンに加入している加盟店に対し契約の自由を貫徹して理由もなく契約更新拒否をする可能性が十分考えられます。労働者性が認められ、団体交渉権が認められることを切に願います。
また、組合側から提出した陳述書で示したような本部の優越的地位を濫用したパワーハラスメント行為は、企業等において労働法の相互理解に基づき集団的労使交渉による解決が図られる必要があるのと同様に、本部と加盟店においても契約書の相互理解に基づき本部と組合が集団的交渉により解決を図る必要があると考えます。

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